発音とリスニングの不思議

左の動画は世界中を驚かせた英語の音声とリスニングの事実です。発音とリスニングには密接な関係があります。これは“Laurel vs. Yanny”“Laurel 派か Yanny派”と呼ばれ、ユーチューブだけでなく同時に他のSNSでも大騒動になり、それがテレビのニュースとして大々的に報道されました。その理由は英語のネイティブの発音したLaurelがある人にはYannyに聞こえると言うものです。

どのような理由で発音とリスニングでこのような不思議な事が起こるのでしょうか。科学的には次のような説明がされています。プライミングにより慣れている音に聞きとれる場合が多いと言う事です。そしてLaurel と Yanny音の高周波の部分の音響的特徴が非常に似ていると言うのです。実際に速度を遅くするとYannyに聞こえ、速度を速くするとLaurelに聞こえるようです。

これは音声の周波数の高い部分をより多く聞くとYannyに聞こえ、周波数の低い部分を多く聞くとLaurelに聞こえるようです。

英語のリスニングでは記憶にあると音と聞いた音の特徴の照合です。音の感知と音の認知は人により違うのです。発音とリスニングでは発音記号のような個別の音よりは、全体的な音の特徴が大事になります。

もちろん、これは英語だけでなく、日本語で起きています。

日本語の場合「撮ったかのかよ」が「エイアイアイ」に聞こえると言うものです。この場合も高周波の音に敏感な人が「エイアイアイ」に聞こえるようです。

速度を遅くすると「エイアイアイ」に聞こえ易くなります。

ネイティブが正しく発音しても聞き方により違った音に聞こえる場合があるのです。これは非常に稀な事ですが、理解できない場合もちょっとして音の聞き方の問題の時もあるtと思います。

音素(発音記号)は並んでいない

英語話者が次の日本語を聞くと、

「掘った芋を穿るな。」

英語話者には次のように聞こえると言います。

What time is it now?

この場合も音素ベースで10%も合致しませんが、2つの音声は全体的な音の特徴が似ているのです。日本語でも英語でも、言語音に音素(発音記号)が並んでいるならこのような事は起きません。正しい音が並んでいればその正しい音が聞こえるはずです。しかし、実際には音声には正しい音素が並んでいるのではなく、連続的に変化する音なのです。その音の変化の特徴がLaurelに近い人が記憶にあるLaurelと聞こえます。そして聞いた人がYannyの特徴に近い人が記憶にあるYannyと聞こえるのです。

リスニングとは聞いた音の特徴と、自分の記憶にある音の照合です。実際の音を聞いているのではなく、記憶を想起しているのです。

 

音素ベースで比較するとほとんど違います。しかし、では何が同じかと言えば音の全体的な特徴が非常に似ているのです。音素よりは全体的な音の特徴が大事になります。

その音の変化の特徴がLaurelに近い人が記憶にあるLaurelと聞こえます。そして聞いた人がYannyの特徴に近い人が記憶にあるYannyと聞こえるのです。リスニングとは聞いた音の特徴と、自分の記憶にある音の照合です。実際の音を聞いているのではなく、記憶を想起しているのです。

音素ベースで比較するとほとんど違います。しかし、では何が同じかと言えば音の全体的な特徴が非常に似ているのです。音素よりは全体的な音の特徴が大事になります。

上記の2つの動画を見れば発音やリスニングで音素(発音記号)は重要でないことが分かります。

もちろん英語脳を持った人がネイティブの発音をLaurelと聞いたり、Yannyと聞いたりするのですから、英語を理解するには英語脳はまったく関係ない事も分かります。

音声は音のストリーム

次の2つの音声は「あいうえお」と言う音声です。

1.音素だけ(あいうえお)

「あいうえお」という音声から繋ぎの部分を削除して音素の部分だけを切り取り、音を並べてあります。

しかし、大変聞き取りに難くなります。連続的に変化する部分がないからです。

人間が音を感知する時は安定している音素の部分より、次の音に変化する変局点の方を注意して聞いています。母音でも変化する部分をカットして「あいうえお」の音素だけを並べると聞き取りにくくなります。Laurelの音声も連続的に変化しているから、Yannyに聞こえてしまいます。

2.連続音(音のストリーム)

通常は「あいうえお」というと自然につながります。すると連続的に変化する音のストリームなので、自然であり、聞き取り易いのです。

このように考えると英語の発音で音声学のように母音と子音に分けて学ぶのは正しい学び方ではありません。もちろん母音や音素を並べる発音練習は正しくありません。

音が連続的に変化する音のストリームですから、音を連続的に変化させる発音でなければ自然な発音になりません。

発音ができても聞き取れない

英語の本では発音は大事であり、発音できれば聞き取れると言う教師もいます。しかし、上記の動画で見たように英語の正しい発音のできるネイティブでさえLaurelがYannyに聞こえてしまいます。

だから発音ができるから聞き取れると言うのは事実でありません。あの自然な英語の音をおぼえないと聞き取りはできません。