音声を聞く時は錯覚に気付く
2006年5月29日の日経新聞で順天堂大学の北沢茂氏の研究で脳が順序を錯覚する事を明らかにしました。これは右手を左手より0.08秒先に刺激する事件を続けて、その後両手を同時に刺激すると被験者は右手を先に刺激したと感じるようになったと報告しています。これは日常生活では脳の正確な判断の邪魔になる他の刺激が多いので、刺激から受けた感覚の信号だけでなく経験を基に判断する仕組みができているため、錯覚が起きると研究グループは決論付けています。

このように人間の脳はうまく錯覚を利用している面がかなりあります。しかし英会話においてはあまり錯覚の事を触れている本はありません。錯覚と言うとなんとなくごまかされたように聞こえますが、実は錯覚は人間に臨場感を与える大事な能力です。錯覚は人間にとって決してマイナスな事ばかりでなく、プラスの面もあります。

例えば視覚における錯覚は残像があります。これは実際に無いものが見える現象ですが映画やテレビやアニメが動いて見えるのはこの錯覚の恩恵によるものです。もし脳に残像効果無くすべての物が正しく見えるとすると映画やテレビは多くの静止画が1分間に映画では24枚、テレビでは30枚もめまぐるしく変わるのが見えるはずです。しかし実際には錯覚により前の静止画と次の静止画が重なってみえるため映画やテレビの動きはまったく不自然さが無く動いているように見えます。人間はこのような視覚の錯覚があるから人工的な動画が楽しめます。

交流電気の白熱電球や蛍光灯も同じで、実はついたり消えたりを繰り返しているのですが、人間の目には別に苦にならずに使っています。実際に消えている光がずっと光っているように見えるのは錯覚のおかげです。


人間が立体的に見えるのも錯覚です。現実的には2つの目でみた僅かな違いの画像が脳に入力されているだけですが、それを脳が立体的に見せているだけで実際の画像とは違いますから錯覚です。我々が音を聞いた時に方向性を感じる事ができます。しかし耳で受ける聴覚の刺激としては僅かな強弱や時間的な違いのある2つ物理的な刺激です。それを脳が方向性として感じさせているわけで実際の音ではないのです。

このように人間の脳は錯覚をうまく利用しています。英語の場合には特に聴覚の面の錯覚を利用していますので何が錯覚で現実かを理解して学習する必要があります。発音やリスニングを学習する場合には何が錯覚であるかを見抜く必要があります。


私は人間が音声認識や発音に音素をベースにしていると考えるのは錯覚だと思っています。また音素をベースにした方が説明がし易いので納得させやすい背景もあります。しかしもしこれが錯覚であるなら、実際には何をもって認識しているかを知る必要があります。なぜならばもし錯覚であれば現実的にはどうやって認識するのか、発音するのかを知れなければ効果的な練習は存在しません。


上記の研究で実際の刺激よりも経験を優先する事は人間にとって助かる事です。我々はある程度騒音がある中で会話ができます。現実的にはテレビを見ていてもテレビ以外の多くの音が聞こえてきます。しかし我々は町を歩いていても会話ができるのは所々聞き落としても問題なく聞き取れるのです。それは耳から入る音よりは経験的に聞いた音でカバーできるのです。英語で実際の音素を聞き取る事だけに専念しないで、英語の正しい音を覚える事も重要視すべきです。

NHK出版会発行の元MIT現ハバード大学教授スティーブン・ピンカー氏著「言語を生み出す本能」によると「話し言葉の音声は、継ぎ目なしに繋がっている」と言っています。この本は英語耳の松澤さんがサイトのBBSで紹介していたものです。松澤さんはこの本を引用しながら音声はつながっており、音声は動的認識が必要と説明しておりました。ピンカー氏は「音のつらなりと思い、そう聞こえるのも、錯覚である。」と言い切っています。例えばCATと言う音をテープ録音してもk、a、tに相当する音素を取り出せないそうです。この3つの音を逆につないでも「タック」とは聞こえずに、わけの分からない音がするだけだそうです。語または音の構成要素についての情報は、語全体にまたがって格納されている、と言っています。音声を音素で認識と思っているのは錯覚なのです。


この錯覚は続いて発音される音が音素のように区切れて聞こえるものです。これも人間にとって大きな手助けとなっております。英語であれば文字で表記されると必ず単語と単語の間にスペースが入り、単語の読み取りが楽になります。しかし、音の場合には実際にはつながっている音が区切れて聞こえる事により、発音が非常に楽になります。もし人類が一つずつの音を明瞭に話す必要があれば、人間は今のようにおしゃべりを楽しむ事はできません。

このように人間の脳はいくつかの錯覚を利用していますが、英会話の学習においても何が実体で何が錯覚を明確に知った上での学習が効果の上がる方法です。

リスニングにおいては錯覚を最大限に利用すべきですが、発音に関しては実態の音を真似るべきです。

HOME|最適性理論とは|教材オンラインショップ|特定商取引法の記載|個人情報保護方針|お問い合わせ
Copyright(C) 2011 最適性理論で英語学習 All Rights Reserved