英語のカタカナ発音は弊害が多い

池谷裕二氏は脳科学者でベストセラー「海馬」を書いた著者でもあります。池谷氏は日本一脳にやさしい英会話法とのうたい文句の「魔法の発音 カタカナ英語 」の著者でもあります。本書のカタカナ表記のアイデアは日本に昔からあるハイデイ・矢野氏等の著作の発音法則とほぼ同じです。発行者は日本人の脳にもっともフィットした英会話実践術を紹介するとしています。

「多くの日本人はanimalをアニマルと発音します。たしかに英語の授業でもそう習いました。でも、この発音ではいつまで経っても通じることはないでしょう。理由は単純です。割り当てるカタカナが間違っているのです。本当はエネモウと言わないといけないのです。これを読むときには変に気取って英語ぶる必要はありません。そのまま素直にカタカナを読み上げてもらえばよいでしょう。それで十分に通じます。」と言って次のように勧めています。

ホスピタルをハスペロウ、アニマルをエネモウ、ピープルをピーポウ、ペーパーをペイポ、ハウアーユーをハオユ、テイクイットイージーをテイケリーズィ、そして宣伝文句には独自のカタカナ英語ルールでネイティブ並の発音が可能になると言っています。ネットレビューでも「妙に納得して、ほんとうにネイティブに聞こえてしまうんです」と言うのもありました。ネイティブの音をどう定義ぢてもそれは絶対にあり得ない事です。

英語においてカタカナ発音は厳禁と言えるものです。言葉の発音とは大変微妙な音を出すことであり、リスニングは微妙な音を聞く事です。日本語で「あの人は東北の訛り」を聞き分ける事ができますが、発音時の舌や口の開け方の違いでは1ミリにもならないような微妙な音の作り方です。滑舌が良いとか言っても調音方法やタイミング的に言えば数値ではとても表せません。このような音を感知でき、発音できるのです。日本語でさえ微妙な音を文字で表現はできません。日本語でも音の数よりは文字が少なく、同じ文字でも多くの場合発音の違う音が使われます。ある日本語読み上げソフトの場合には「あ」だけでも1600種くらいの音を用意してあるそうです。ましてや英語の発音をカタカナで表現するのは無理な事です。話し手がその微妙な音を使い分けるのですから、聞く場合にはそれに対応せざるを得ません。その微妙な音を使うのには発音のし易さと言う理由があるのです。

言語学習の発音練習は文字ではなく、音をベースにすべきだからです。しかも現在は各種の音の媒体を使える機器がふんだんに使える時代なのです。音声学の音の記述をもって表現できない自然な音を、カタカナだけで表現するとは無謀な話しです。脳科学的に考えても英語の発音をカタカナで済ますのは、弊害こそあれ利点は何もありません。腹いっぱい食べて減量しなさいと言うくらい馬鹿げた話しです。体重を減らすのは、どれだけ運動をするにしても摂取するカロリーを減らす必要があり、食べ過ぎると言う悪い習慣を絶たなければ体重は減りません。

池谷氏の「記憶力を強くする」の本では人間の脳がコンピュータと違うのが、脳は試行錯誤が必要だと言っています。この本の中で脳の記憶は消去法のようなもので、これは違うあれは違うと試行をしていくと言っております。そうであれば英語の発音も特にこの試行錯誤の消去法の学問そのものなのです。日本人が日本語を話す場合にはカタカタが脳にもっともフィットしたものですが、音韻体系のまったく違う言語では大変発音し難い、フィットしてない発音になります。悪い癖をフィットしたと表現をするのは大変誤解を生み易いのです。日本人が発音しやすく感じるのは、それは母語の発音習慣が干渉しているからです。変な癖が付いているからカタカナしか発音できないのです。もっと練習をすればずっと発音し易くなるのです。英語の発音はカタカタ発音よりはネイティブの自然な発音の方が最も脳にフィットして発音なのです。その英語の自然な発音は数万年もかけ、自然に淘汰されながらそうなった音なのです。目指すべきはカタカタ英語ではなく、自然な英語です。

2006年10月22日の午後9時からのNHKスペシャルで「赤ちゃん成長の不思議な道のり」で赤ん坊の成長には、一見後退するかのような不思議な道のりがあることがわかってました。私たちの一生でもっとも脳の潜在能力が高いのはいつの頃かと言う問いに、最新科学が明らかにした答えは驚くべきものあり、答えは実は生後8か月頃から1歳前後なのです。脳のなかで神経細胞同士の情報伝達を担うシナップスの数はその時期ピークに達したのち、早くも減少に転じてしまいます。生後8ヵ月を過ぎた人間は学習する、しないに関わらず全てシナップスの数だけで見ると減少していくのです。

そこには、人間らしい能力を獲得し、発達させるための秘密が隠されています。赤ん坊の最新研究からは、自分の環境に最も適した能力を選びとっていく姿が浮かび上がってきました。最近の脳科学では人間が学習して覚えるプロセスは新しい回路を作るのではなく、重要なシナップスを減らし選択して強化することが分かってきました。英語の微妙な音を学ぼうとする発音練習は脳科学的にみても、正しいアプローチなのです。

カタカナ英語の弊害はまだあります。英語をカタカナで覚えるとリスニングに大きな問題を抱える事になります。音は自分が覚えた音に聞こえてしまうことです。その証拠に日本語では犬はワンワンと言い、雄鶏はコッケコッコーと言います。日本文化を持った人であればそう聞こえるはずです。誰も疑問を持つ人はいないでしょう。そのように聞こえると教育を受けたからです。そのように期待して聞くからコッケコッコーと聞こえるのです。英語圏では犬は敢えてカタカナで書けばバウワウと鳴き、雄鶏はクッカドードルドーと鳴きます。英語文化圏に育った人には間違いなくそう聞こえるのだそうです。英語圏ではワンワンとコッケコッコーは何の意味か分りません。もちろん日本語文化圏の人はバウワウとかクッカドードルドーは何の音だか見当のつけようがありません。どこでも通じる動物の鳴き声を真似る解決方法はなるべく犬や雄鶏の生の音に近い音を出すことです。そうすれば犬だとか雄鶏だとか分るかもしれません。

カタカナ表記は動物の鳴き声だけでなく、英語の音声学習には大きな障害となります。

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