大脳生理学の教科書には英語脳は無い

日本語を介在さないで、英語を英語のままイメージや感覚を捉えて英語で理解することを英語脳と呼ぶようですが、このような非科学的な考えはしない方が賢明です。大脳生理学本でも日本語脳とか英語脳の事はまったく触れておりません。英語を理解するのは英語の音と意味を覚えておくか、英語の文字の意味を覚えているかの問題で、理屈の説明は簡単な事です。

脳の内部では別に日本語脳とか英語脳に分かれているのではありません。脳の部位にはある程度の専門領域がありますが、明確なものでありません。事故などで脳に損傷を受けた人が想像を絶する回復ができるのも、失った機能を他の脳の領域が替わりをするからです。右と左の脳でさえ、明確な役割分担が無いことも最近の研究で分かってきました。

日本語でサンキューとかアイラブユーと言っても、英語脳とは言わないように、英語が話せるようになっても英語脳があるからでなく、単純にたくさん覚えているから話せるだけの事です。英語を駆使するためには、別に英語で考える必要は無く、多くの英語表現をダイレクトに意味を理解がら覚えて、必要な時にそれをダイレクトに英語で覚えれば良い事です。この日本語と英語のペアを数多く覚えると文法的な解析無しで理解できますので英会話などでは大変有効な手段です。これは別に英語で考えるのではなくて、多くの表現を覚えただけの事で誰にでもできることです。私は多くの英語脳だと言っている人はこのタイプだと思います。私には思考のベースを日本語や英語に切り替える事はできません。

私が英語脳を無いと言うと言うのは、別に有っても無くて大きな問題ではないのですが、英語脳を獲得しよう、英語で考えたりして苦労している人をみると非常に同情的になるからです。覚える努力をしないで直ぐに英語脳を作ろうとするのは見ていても気の毒でしかありません。

英語脳が脚光を浴びたのは浜松医科大学の植村氏が、アメリカの大学に留学し、バイリンガルになった大学生と、東大生で英会話が全く出来ない大学生2人に英語と日本語のニュースを交互に聞かせ、そのときの脳内の反応を調べる実験を行った結果でした。これは1999年10月19日のNHKのクローズアップ現代でも放映されました。この番組でバイリンガルの脳は2箇所に反応したのです。英会話ペラペラのバイリンガル大学生の脳は、英語を聞いて理解する左側頭葉の聴覚野に英語・日本語が、それぞれ別の場所に反応が現れたのです。

一方で東大生の脳は1箇所のみ反応でした。受験英語はほぼ完璧だが、英会話はダメという東大生の場合は、日本語も英語も同じ、日本語の反応箇所に反応が現れました。問題はこの結果バイリンガルは英語脳を持っており、東大生は英語脳を持っていなかったと決論付けたのです。英語脳とは英語の音の回路を持つ脳のことであり、この実験結果から英語を使いこなす脳の仕組みは確かに存在し、それは、左側頭葉の聴覚野に日本語とは、別に英語を聞いて理解できる音の回路が出来ているかどうかという違いだと判断し、これを英語だと認定したのだと思っています。

しかし、2004年7月7日号のニューズウイークではイタリアの脳科学者、ダニエラ・ベラーニ氏らの研究チームの研究結果をPETでのカラー写真を入れ成果を発表しています。そこではイタリア語話者に母語のイタリア語と7才以降に習得した英語とまったく理解のできない日本語を聞かせ脳内部の活動をPETで撮影しました。その活性化する部位は母語のイタリア語を聞いても、理解できる英語を聞いても、理解のできない日本語を聞いても左だけでなくて右も側頭葉が活性化しています。母語のイタリア語の時は活性化部分がやや広くなっているくらいです。NHKの番組で日本人が日本語聞いた時の脳の活性化を光トポグラフィで見た画像を紹介していましたが、脳のほとんどがピンクから赤く活性化していました。

これは英語を聞いて活性化する部位は母語の場合と第二言語の場合では母語場合の方がやや広いくらいです。幼児期に覚えた場合と、ある程度成長してから覚えた場合と違う場成長してから覚えた言語も何も知らない言語を聞いても同じ場所が活性化すると言う事です。私は植村教授が英語脳と判断したのは間違いで、現在のPETや光トポグラフィでは違う結果になると思われます。植村氏の研究が公開されていませんし、その後の研究もされていませんので何とも判断できません。

それは英語を聞いて音を認識して意味を理解する脳内のプロセスはかなり複雑です。各自の英語力よって脳内での処理は違います。言語の音を認識したり、音の意味を解釈する部位は脳内では同じでなければ10ヶ国語も話す人はとても存在し得ない事になります。英語のためだけに存在する英語脳は無いと考える方が常識的な考えです。


東京大学の言語脳科学の酒井邦嘉・助教授は脳の「言語地図」を作りました。脳の文法を使って考える時と、文章や単語を理解する時、アクセント(音韻)を聞き分ける時は、それぞれ脳の異なる部分が働くことを米科学誌「サイエンス」に発表しました。脳は単語、文章、音韻を考える場所は別々となって「言語地図」を形成している訳ですから、言語により場所が別々でない事になります。これは以前から脳の言語を話す中枢とか聞いて理解する中枢があると言う説を更に詳しく説明するものです。

電気通信大学情報工学科助教授の酒井邦秀氏は「ミステリではじめる英語100万語」の中でやさしい英語からはじめようと、辞書を使わずに自分で完成した日本語訳を作らないで読む事を勧めています。そしていくら読んでも読み過ぎることはないと興味の赴くままに勉強する事を勧めています。そして英語を読む基礎体力を文字だけでもイメージがわくような読み方を身につけよう、ノンフィクション的ミステリで単語を増やそうと言っています。

しかし、単語が「輪郭」でつかめるようになればシメたもので目標は1日に5000語であり、とばし読みがストレスなくできているかが理想的だといております。そして最終的には100万語を目指すと言うものです。この中で興味や面白さを優先して英語に親しむと言う事は納得できますが、1日に5000語とか目標が100万語を目指すと言う事は現在の大脳生理学的に考えれば興味を持つようになる事と、掲げる数値はほとんど関係ない事だと思われます。

単に数値目標が楽に設定できるから掲げているだけの事で、1日に5000語とか合計が100万語と言う数値自体は何の根拠のないことです。それらの数値を達成するよりは英語に興味と関心を持って係わり合いを増やす事が重要だと思います。

英語脳は存在しません。英語を話すために必要な事は英語の音やその意味、発音方法を覚える事です。覚えたら、必要な時に使えるようのする事です。

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