英会話は音や文章を「素」に分解して覚えない

化学では水を酸素と水素に分解したり、酸素と水素を燃やしたりして水にする事ができます。化学的な参照単位である酸素や水素が存在するからです。「素」を知ることができれば、理論上は素材から何でも作る事ができます。英語でも音声を音素に分解したり、文章を形態素に分解したりする事があります。音声を音素に分解して認識するのが音素ベースの音声認識です。音素や発音記号の発音を覚えて単語や文章の発音をするのが音素ベースの発音練習です。文章を主語や述語や目的語の形態素に分けて日本語を英語にして、その英語を英語の順序に並べるのが翻訳です。音声認識では音素ベースのシステムではまだ実用的なものは存在しません。翻訳も形態素に分解する文法解析の翻訳ソフトはあまり実用的でありません。これは音素にしても形態素にしても人間が概念上作ったものです。

音声認識も翻訳も音素に分解して、認識する方法はいずれも良い結果を上げていないのはそれなりの理由があります。言葉というのは非常に長い年月を掛けて進歩したものです。音素の概念も形態素や文法の概念も人間が後からそのような規則性を無理をして見出しているだけで、音素や形態素があって音声や文章は組み立てられていません。英語の場合はスペルを覚える場合も幾つかのルールで覚える方法はありますが、結局はひとつずつ覚える方法が一番効果的な方法です。

言語がなぜ「素」に分解して組み立てる方法ができないかと言えば、最初から「素」でできていないからです。水は水素と酸素に分解できると言いましたが、この地球も含め宇宙にあるすべての物質は水素から始まり、いろいろな元素ができ、それから複雑な化合物ができました。その結果、どんなに複雑な化合物であっても、元の元素に分解する事ができるのです。しかし、言語は音声にしても子音と母音の音素から始まっておりません。文章も主語や述語の形態素から始まっていません。その詳しい事は言語の歴史を参照してください。

また、音声や文章の場合には素を組み合わせたのものは全体的なもの以下になってしまうからです。例えば「エイゴ(英語)と言う単語は3つの「エ」と「イ」と「ゴ」に分ける事ができますが、しかしこれは3つの音が並んだだけのものです。「エイゴ」と発音する時にはリズムやイントネーションも加わり、もしかするとそれぞれの英語にまつわる記憶や感情が湧いてくるかも知れません。こう考えると「素」に分けることによりそれに付帯した多くの情報を失い、「素」を並べても全体的なものには程遠い音にしかなりません。

これは単に単語の音だけの事ですが、文章を単語と言う「素」に分けて同様な事が発生します。

これらの事を考慮すれば、発音や聞き取りの場合も単語やフレーズの連音で覚える方法が一番覚えやすく、また発音し易い方法でもあります。音で覚えると似たような音は発音も聞き取りも更に楽になります。記憶にある音が増えると加速度的に記憶が楽になります。英語を日本語に、日本語を英に訳す場合もフレーズや文章単位で覚える事により、聞きながらトップダウンで理解できる基礎となります。

名古屋大学大学院情報科学研究科の助教授の川合伸幸氏は人間がチンパンジーとの記憶の違いは文字情報をチャンクとして扱う能力だと言います。単純な短期記憶はそれほど違いが無いと言います。英語を音として考えた場合にも音を連なりとして扱う事が非常に重要です。

アメリカの言語教育でもフォニックスよりはホール・ランゲージのアプローチが良いというのは、「素」に分解するための情報の損失が大きいからです。いろいろな研究でホール・ランゲージの有利性が証明されています。

「英語耳」の松澤さんは「英語耳」では43の音が大事ではその音が発音できれば聞き取れると言っていました。しかし、次に出版された「単語耳」では音声はつながっており、音節が大事だから単語ベースで覚えろと言っています。

音声が大事であるならば単語と単語がつながって新しい音節ができますから、文章全体の音を覚える必要がある事になります。いずれにしても音を素に分割しない事です。

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