英語教育でエマージョン教育の是非

最近英語教育が普及して子供の英語教育が始まっています。そしてエマージョン教育を望む学習者や保護者が多くいるようです。英語を耳で覚える臨界期があるのでその前に英語を覚えさせたいとの親心だと思います。英語のエマージョン教育と言って子供に総てを英語で教えている学校もでてきています。私も体験した事がありますが、これにはあまり賛成ではありません。英語を第二言語として学ぶ場合には英語を身に付ける事以上に学び方を学習する機会でもあり、英語のように時間の掛かる学問は学習方法を身に付ける最大のチャンスです。エマージョン教育は環境自体に英語を話させる状況にしますので、知らずに覚える利点もあるのですが、意識して学習していないため、エマージョン教育で英語が身に付いても他の言語は別として、他の言語以外の学習にはまったく生かす事ができません。

英語文化圏では子供やバイリンガルの人の多くは子供の頃にエマージョン教育で覚えている事になりますが、発音がほぼ完成するのに9年くらいはかかっており、非常に時間の掛かる非効率的な方法です。英語の環境があれば別ですが、わざわざ英語の環境を作りエマージョン教育にするのは時間的に見ても、経済的に見ても費用対効果の低い方法です。私は英語をあまり理解できなままアメリカの大学に進学して英会話はエマージョン学習で身に付けましたが、決して勧められる方法ではありません。英語学習の武勇伝としては面白のですが、学習とはもっと知的にスマートに覚えるものです。

そして、大変に効率の悪い学習方法です。せっかく学習できる機会でありながら、環境により必然的に覚える面が強いためにこの学習体験は他にあまり使う事ができません。また、私はまた長い間言葉に関連した仕事していますのでエマージョン教育で多言語身につけている人を多く知っています。しかしその方々の苦悩を知っているので、バイリンガルが必ずしも良い事ばかりでない事を知っています。


私の友人に4ヶ国語を話す男がいます。それは私が留学していた学校にイタリア系のベネズエラ人のミーバ・フィロセタです。ミーバはイタリアで生まれ8才の時にベネズエラに移民しました。ベネズエラの高校を卒業してカリフォルニアの大学にきました。ですから彼はイタリア語、スペイン語、英語そしてフランス語も理解して話すことができました。言語を習うには非常に恵まれており日本の英語のエマージョン教育以上の環境でした。家ではイタリア語を使い高校までの学校ではスペイン語を使って大学は英語で勉強しようというのです。語学を習った者から言えばうらやましいのですが本人は少しもうれしそうではありませんでした。

例えば電話番号を覚えるのはどうしてもイタリア語でないと覚えられないと言うのです。それでは新しい学問を習うなら何語でならうかと聞いたところアメリカの大学に入ってからは英語だと言うのです。ミーバの英語はイタリア語なまりのあまり上手な英語ではありませんでした。私の英語といい勝負くらいでした。

もし私が何か新しい事を勉強するなら躊躇なく日本語を選びます。多国語を覚えた場合に絶対に必要なのは絶対的な自分の利き腕となる言語を持っておくことです。新しい何かをするときにはその利き腕となる言語で勉強することによる効率よく学習できます。

私の友人には母国のないバイリンガル男がいました。私がサンディエゴの大学の先輩で将来は外交官を目指していたJ.T.氏です。母親が米国人で父親が日本人でアメリカの国籍を持っていました。中学まで日本の学校に行き高校からアメリカン・ハイスクールに行きました。バイリンガルにはもってこいの環境でした。彼は1970年に大阪の万博で米国政府の出展してアメリカパビリオンの政府館のホストに選ばれた程の俊才でした。

万博でアメリカ政府を代表しますのでアメリカ国籍保有者、日英バイリンガル、品行方正、成績優秀でなくてはなりません。私の行っていたサンディエゴ州立大学でも10万人弱の学生がおり、日本語学科もありましたが上記の条件を備えて受験できる者でさえ彼しかいませんでした。しかし彼は各種のテストや選考や面接を受け数十倍の難関を突破しました。選ばれた事は本人にも我々日本人仲間にもそして学校でも名誉な出来事でした。

しかし私からみればうらやましい環境でした。しかし彼はさびしそうに「自分に母国が無い」と言って嘆いていましたのを覚えています。法的な国籍では米国人でしたが彼が言うには米国にいても自分の国に来た感じがしないと言うのです。日本にいても母国に居る感じがしないということでした。確かにJ.T.と話していると日本語はうまいのですがやはり何となく外人と話しているような気持ちでした。本人は自分は日本人でもアメリカ人でも無いがライシュアワーのようになりたいと言っていました。


母国語は自分の文化やアイデンティティにも直結するものです。その自分が確立しないてうちに複数言語で教育を受けることは大きな問題を抱える可能性が多いと思います。帰国子女がバイリンガルともてはやされる一方で多く問題をかかえた子供の方が多いのです。検索エンジンで帰国子女と問題で検索してみれば分かります。帰国子女はやむを得ず異文化に接する機会を得たのですが外国語を学ぶ者としてはうらやましい存在ではありますがそれが言葉や教育の問題を抱えている子供も多いのです。

このような中であえてエマージョン教育で不安をかかえる必要があるのでしょうか。特に自分は英語をうまく習得できなかったので子供には小さい時から英語をやらせたいという親が以外と多くびっくりしています。自分が努力して習得できなかった英語を単に英語で教える学校にいかせるだけで問題が解決できると考えているのでしょうか。利き腕となる母国語とか自分のアイデンティティとかの問題を心配する必要はないのでしょか。

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