英語のリスニングとリーディングの関係

英語のリスニングが良くなるとリーディングも良くなると信じている人がいますが必ずしも正しくありません。それは第44回大学英語教育学会全国大会で入賞された大石晴美氏の研究では英語の文字の理解の仕方と英語の音の理解の仕方には多様性があるとしています。光トポグラフィで脳の血流を調べる実験の結果、英文を読む場合に英語の音と同じような認識のする人と、別の処理の方法をする人がいると言う事です。ではどちらが効率的かと言われれば英語を聞くこと、英語を読むことはそれぞれ別に処理をした方が良いのです。練習も英語を音を出さずに読むのであれば発音とは別に英文字をトップダウンでかつ直接理解するような訓練を積む方がはるかに効果的な多読ができます。

英語に本格的に取り組む方、ある程度の量の英語を読まなければならない人は英語の読みの練習とを発音の練習とは別にすべきです。普通のネイティブが読む場合に英文であれば1分あたり240ワードくらいです。日本人で英語の好きな人の平均的な読みのスピードは100ワードくらいだそうです。日本人が日本語を読む速度は1分当たり600字くらいが平均的な黙読の速さです。これは人間が話す平均的な速度に近いのです。英語と日本語の情報量の換算として英語1ワードを日本語2.41語くらいで換算すると良い感じがしますので、日本語の方がやや早く読めるような気がします。これは日本文には漢字があるために読みが楽になるからだと思います。

国立国語研究所などの研究によると、人によって差はありますが、一般的な日本語の読書では「本の文字を1視点で約3.22 文字捉えている」と言われています。1視点とは「目を動かさずに文字を瞬間的に捉えた状態」です。この瞬間的に見ている時間が250ミリ秒、次の場所視点を移動するのに15ミリ秒です。単純に言えば読書とは平均的に「250ミリ秒間で3.2文字を読み、15ミリ秒かけて次の場所への移動することを繰り返す作業」になります。従って、瞬時に捉える 文字数(3.2文字)を増やすこと、読む時間(250ミリ秒)を短くすること、視点移動の時間(15ミリ秒)を短くすることで速く読めるのです。

特に速読の訓練を受けなくても、本を読む速度の早い人はいます。難関の大学や資格試験の合格者は一般的に文字を読むスピードが早いと言われています。一方で、読むのが遅い人がいるのはなぜでしょうか。その大きな理由は瞬時に捉える文字数(3.2文字)が多いか、読む時間(250ミリ秒)が短いか、視点移動の時間(15ミリ秒)が短かの問題です。文字を読む場合には生理的な限界がありますので英語の場合は漢字のように表意文字でなく表音文字を、スペルを見て意味を認識するための時間が余計に掛かりますが、英語も日本語も読むテクニックは基本的には原理はほぼ同じです。

このように速読と言うのは、超能力でもなく米国などでは普通の学校でも教えている読みのテクニックの一つで、非常に普及している知識です。けっして怪しいものではありません。私は米国の大学でSpeed Readingのコースを取りました。私のSpeed Readingの教科書にはケネディ大統領もそのコースをとり、1分あたり1万ワード以上読んでいたとありました。英語を効率的に学習するには非常に有効でかつ必要な手段です。英語を本格的に効率良く勉強するのであれば多かれ少なかれ必要な技術です。理解精度を落とさずに読むもので早送りや飛ばし読みとはまったく違います。英語でも日本語でも速読の基本は同じで視点をすばやく移動することと、文字を見る視野を拡大することを意識してやれば誰でもできるものです。日本人の場合であればまず関係詞などがあっても戻らずに、トップダウンで理解できるようになるだけでかなり速く読めます。

効果的に英語を学ぶのであれば、黙読時に意識内音声を使うのは非常に効率の悪い文字の理解の方法です。英語を読む場合には発音とは別に英文をなるべく直感的に理解する練習をすることにより倍くらいの速度は容易に身につけることができます。読む速度もレベルが上がると文字をダイレクトに理解できるようになり、トレーニングをつめば普通の人の10倍以上の速度で読み取る事が可能です。アルファベットのような表音文字はスペルを見て意味を理解しますので、漢字のような表意文字よりは読む練習が効果的になります。

私は英語の速読のトレーニングを受ける事は特に勧めませんが、英文字を読む時にはなるべく英語の音とは関連させないで理解しようとする意識は大事だと思います。リスニングとリーディングではMental Lexicon(心内辞書)を使い理解しています。現実的には心内辞書は画像ベースのものと、音声ベースのものがあります。画像ベースは文字を読む時に使われるものです。それぞれのデータベースが充実すれば効率の良いリスニングとリーディングが可能になります。

脳内音読と言う言葉が使われる事がありますが、速読の邪魔になりまた実際の音読の効果も生まない悪い習慣でしかないと思います。音読の良さは音に出していろいろな筋肉を動かし、同時にその音を聞きながら音を聞いたり、音を調整するために脳に良い刺激を与えます。音読とは物理的に音を出す事で脳内音読と言う言葉自体が怪しい感じです。多読する事は英語の知識を身に付ける意味はありますが、発音を良くするとか、英会話が上手させる意味はあまりありません。文字を見て理解する練習ができるだけの事です。

私は英語を聞いて理解するプロセスは、英語の音を聞いてその音で思い浮かべる意味を推測して、それが自分として意味を成すかどうかを判断しているように思えます。聞き取れない音は聞いてもどの単語に当たるかが分からないのです。聞き取れないのは、自分が予測している範囲以外の音は聞き取れないだけで、悪い発音が邪魔をしている訳ではありません。

発音の良さと、聞き取りが良さは直接的な関係はありません。発音を矯正すると多かれ少なかれ聞くことに関心を持ちます。きれいな発音をするためにはどうしても音の特性を聞く必要があります。だから発音を良くするためには聞き取りも改善されなければ良くなりません。リスニングを良くするためには、自分の知っている英語表現がどのくらいまでの音の幅があるかを知る事です。そのためには録音して行う発音練習は音の幅を知らずに聞いていますので以外と効果的です。

”読書がなぜリスニングの役に立つのか”の問に、ある方は次のように答えています。

そう考える前に、役立っていない人もいることを考える必要がありそうに思います。要するに、各人各様で、英語にふれてきた歴史が違います。例えば私の場合は何十年と読む英語のみに接してきました。聞くこと、話すことは必要がなかったからです。だから読むこと自体には抵抗はありません、それが私にとって面白いものである限りは。しかしそれとリスニングはにわかには結びつかないのです。

私も読書はリスニングと直接に結びつかないと思います。

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