英語を発音できても聞き取れない

発音ができるとはどういう事でしょうか。走り高飛びで1m 50cmを飛べると言うことはまず、バーを1m 50cmに合わせ、それを落とさないように飛べると1m 50cmを飛んだ証明になります。言葉の発音の場合にはこのバーに当たるものがありません。例えば「あおい」と発音しようと思い場合に「あ」の音の絶対的な規定や定義はありません。日本語でも英語でもどの音声学の本を読んでも「あ」を音響的に定義していないのはそのためです。音の定義がないからその音が発音できたどうかは話している本人も確認できません。「あ」の音には口の形があると言うかも知れませんが、それなら「あ」の口をして全て「あいうえお」言ってみてください。発音し難いのですが聞き取れるくらいの発音はできます。馬鹿げた方法ですが典型的な「お」の口をして「あ」の発音ができるのです。

英語でも日本語でも「あ」の音の物理的な定義はありません、それは音響的に定義ができないからです。もちろん「あ」「お」「い」それぞれに音の高い低いはありますが、それは相対的なものであって最初の「あ」は何でも良い事になります。つまり「あ」を発音している段階では「あ」を発音しているかどうかは、言っている当人も聞いている人も分りません。発音は聞き分けられる音があるだけで、話している本人はそれぞれの音が発音できているかどうか判断できません。そのため我々はフィードバックであるリアルタイム自己聴覚モニターを使い、聞いた判断できる音になるように常に音を調整しています。

音響物理学的に言えば英語も日本語も母音の場合はフォルマントの時間的変化を感じて認識しているようです。このように言語の音は相対的かつ動的なものなのです。音楽のドレミと同じでどの音でもドの音になります。各人の「あ」は周波数的に計測しても波形を見ても違うはずですが「あ」と認識できるのは他の音の関係から判断できるのです。ですから「い」の音は絶対的に覚えているのでなく、他の音との関連から「い」を発音しているのです。その証拠には我々は耳や体を伝わる音をまったく聞こえないようにして言葉を話すと調子がはずれてきます。絶対的な音を覚えていないので、自分の声が聞こえないと他の音の関係が分からなくなるからです。絶対的な音が無いのですから発音できると言う定義は非常に難しいことでもあります。

人間の話す言葉の音が相対的なので我々にとっては大変都合が良い事がたくさんあります。脳が相対的に認識できる音を出せる仕組みがあれば、自分の肉体的変化を心配する必要がありません。我々の発声する音は体により、正しくは声帯等の発音器官により音響特性が変化します。男性は思春期に声変わりと呼ぶほどに激変します。思春期で無くても特定話者の音声認識システムを作ると成人でも数ヶ月単位で音の体系が変わるために認識率が落ちるそうです。もし絶対音を覚えているなら声変わりした後でも子供の時の高い音にしなければなりません。しかし声変わりで会話の発音に困る人はいません。

脳が音の相対的な関係を良く知っているから声帯の基本的な周波数が変わっても問題が無いのです。このように自分の言葉でも正しく発音できたか記憶が無いのですからその音を作った事があるかなど判断ができる訳がありません。もし自分が発音できたかどうかの記憶と照合するなら、すべての音が聞き取れない事になります。肉体的にまったく同じクローン人間でない限り同じ筋肉の動きなどできないからです。

しかし英語でも同じで特に母音は相対的なものですから声変わりとか体重や身長が増え声帯の振動数が変わっても聞き取りにはまったく問題無い発音が可能となります。だから母音を電子的に測定しても幅としては捕らえることができても、ある母音を聴覚音響学的に定義ができません。音を定義や特定できないのですから自分で過去に作ったどうかは判定できません。ましてや他人の音であれば周波数をみても音の特性からみれば自分が作った事がない音になるはずです。私はLとRの発音は完璧に発音ができますが未だに映画に出てくる馴染みの無い単語のLとRの聞き取りは不安があります。私に関して言えば自分が作ったことのある音でも完全に聞き取れていません。

発音ができると聞き取れると言うのは、音を聞いてその音を作るためにはどのような動きをしたかを脳に参照して、発音したことのある音は認識できると言う理論です。しかし発音する時に正しい音かどうか分からないのですから、正しい音の筋肉の動きなど記憶できるはずはありません。もちろん発音した音を参照することは不可能なのです。

英語のいろいろな音には音響特性を持った絶対的な音があるのではなく、単語や文章にした時に聞き分けられる音が存在するだけです。ですから発音の練習も聞き取りの練習も単音でするのは無く、連音でする事により効果的な練習が可能になります。

また日本語にない音は聞き取れないと言うと言うのも誤りです。Newsweekの日本語版の2007年4月18日号では「日本語にない音は聞き取れてないわけではない。」としています。RとLなど、日本語では同じ音など、英語と日本語では音が違います。聞き取りは難しいのですが、無意識レベルでは、脳はちゃんと聞き取れているそうです。例えば、RとLの音では、脳波を測定してみると、別の反応を示しているそうですただ、それは脳が別の反応を示しているだけであって、「違う音だ」と意識レベルで聞き分けられるわけではありません。

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