言語学習に簡単な方法は無い

長い歴史を持つ、複雑な言語を身に付けるのに安易な方法はありません。英語に関して言えば、日本でもすでに150年以上の英語教育が行われ、いろいろな手法が開発され、試されてきました。その間に費やした費用は何兆円にもなります。更にここ30年の科学技術の進歩は著しく音声を録音して分析したり、繰り替えして聞いたりすることもできる究極のツールを手に入れても、革新的な英語学習方法は未だに開発されていません。

私は現在では言語学習の研究に必要なハードウエアは全部揃ったと思っています。それなのに、まだ音声の人工認識さえ、とても人間のレベル程の認識ができないのです。それは人間の発する音声は不思議なもので我々が現在知っている科学的な知識で推し量れないからです。その得体の分からない音声を聞いて理解できるのが我々の脳であります。

実は、人間が英語をどのように翻訳しているかも良く分かっていません。多分に正式な文法解釈があるではないかと言う人もあるかも知れませんが、文法は確かに存在しても英語の決まりの一部ではあり、全部ではありません。

皆様は「ありがとう」「おはようございます」を英語で何と言うでしょうか。だれでも答える事ができる問題ですが、これを訳す場合に文法は一切使いません。翻訳モデルでは中間言語方式と呼ばれています。それはある会話をする時にその意味を中間的に表す言語があり、それを介在させてターゲットの言語の中の表現を探します。感謝をする時に使うのが「Thank you.」であり朝の挨拶に使うのが「Good morning.」ですからこれらの翻訳のためには何も文法を必要としませんし、文法的には翻訳できないのです。

日本の機械翻訳ソフトの開発は数十年も前から大型コンピュータを使っている頃から研究されています。機械翻訳ソフトは政府の資金も投入され日本の最先端の多くの研究者が参加してプロジェクトが始まりました。現在販売されている市販ソフトの全ては源流をみればそのプロジェクトの流れを汲んでいます。そして始まったのが意味解析の翻訳ソフトでした。日本語を文法的に形態素として分解して、形態素を英語に訳して、英語順に並べると言う基本設計です。その意味解析と膨大な語彙のデータベースがあれば何でも訳せると考えていました。そして数十年間、民間の資金も含めると何千臆円以上は投入されているでしょう。そしてそれらが更に手を加えられ現在市販されている翻訳ソフトになりました。

そして分かった事は人間の翻訳のプロセスは意味解析では無いと言う事が明確に分かってきました。人間が解明でき得る全ての文法を駆使しても翻訳できない文章とか、不自然な翻訳が頻繁にでてくるのです。これは意味解析のまずさで無く、翻訳のモデルの違いであることが分かってきました。現在の翻訳ソフトの開発者が意味解析の手法で翻訳を解決できると思う人は一人もおりません。現在では用例ベースと言う考えが主流であります。

これは人間の翻訳は文法的に組み立てるよりは、用例を思い出し、入れ替えたり、組み替えたりしているのでないかと言う考えです。この用例ベースの記憶量は膨大なものですが、仕組みとしては非常に簡単な作りになっています。英語とその和訳が膨大な数だけ保存されているだけです。どのような検索がされているか興味がありますが、その検索さえできれば意味解析のような難しい理論はまったく必要ありません。

IT企業が協力している国際電気通信技術研究所(ATR)携帯機器向けに開発した自動通訳システムは日本語、英語、中国語の150万の文例を使うコーパス・ベースの翻訳エンジンを使って翻訳しています。人間の脳における翻訳モデルもコーパス・ベースが最も近いのではないかと思われます。

現在この分野の研究において米国ではDARPAによる大規模コーパスの構築がほぼ終了して放送ニュースコーパス、Switchboardコーパスなどが進行中です。研究の方も大規模コーパスを用いた音声認識、意図抽出、話題抽出、インデキシング、要約などの研究がDARPAのサポートの下で活発におこなわれています。 欧州ではELRAによる研究協力体制が確立され、大規模コーパスの作成が進行中であり、研究もECのサポートの下で、音声対話システムなどの研究が活発におこなわれています。しかし日本では現存する最大の音声コーパスは100万語規模のものがありますが大規模コーパスの作成予定はありません。そして組織的な研究もおこなわれていないのが現状です。

英語には体系化された壮大な文法があり、いろいろ解説されていますが、あの文法のすべてを使っても人間がどのようの解釈しているのかの説明ができないのです。間違っているのではありませんが、人間がやっているのはそんな単純な事ではないのです。私が思うには英語文法のような、複雑な方法ではないと思っています。翻訳で言えば少なく中間言語方式とか意味解析とか、用例ベースを組み合わせています。しかし、それぞれの要素は人間が考える文法にように複雑なものでなく、簡単ないろいろの要素を使いながら解釈していると思っています。その記憶量が多いだけではないかと思っています。

文章の英語の解釈さえもまだ分かっていなのですから、英語を聞いて理解するとか、英語の発音をするとかは英語の解釈よりは更に複雑だと思われます。それは音と言う媒体が文字よりも何十倍も不安定であるからです。

これからも英語のリスニングや発音に関していろいろの誤解があると思っています。発音記号にある発音を覚えれば、どんな単語も文章も発音できて、聞き取れると言う説明はあまりにも実体を簡単にし過ぎています。

人間の発音とリスニングは密接な関係がありますが、発音できれば聞き取れると言う根拠は何もありません。英語の音は異音も含めれば無数にあります。すると無数にある音の発音をできたかどうかを判断する事もできません。すると発音する事と聞いて理解する事はまったく別の事です。

私の個人的な考えでは翻訳も音声認識も人間の脳でやっている事は量に依存しており、仕組み全体として脳は大変シンプルなものを状況に応じていくつかの方法を使い分けているのだと思っています。そうでなければ人間の脳が瞬時に判断できるシステムになりません。それを簡単なルールですべてを処理しようとするため、そのルールは簡単になり過ぎたり、複雑になり過ぎたりしていると思います。発音ができれば聞き取れると言うのは簡単にし過ぎでありますし、現在の意味解析による翻訳モデルは実体よりは難しく考え過ぎていると思います。

英語の翻訳や音声認識だけをとってもこれだけ複雑な言語なのです。その仕組みさえ明確に分からないのです。

英会話を簡単に学習できる方法が存在しなくて当たり前と言えます

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