何事も習熟すれば脳は省エネに

どの言語でも言葉を話すためには多量の言葉を覚えなくてはなりません。記憶の原理を活用しても数多くの単語や表現を知らなくてなりません。そしてその音を聞いて理解してもらえる発音をしなくてはなりません。日本語だけでも膨大な量を覚えていることになりますが更に英語まで覚えるのはどうすれば良いのでしょうか。

2005年2月16日の日経新聞に東京大学の酒井氏が“英語を習熟すれば脳の活動を節約”を発表したと言う記事が掲載されていました。これは英語を習い始めた中学1年生と英語に習熟している東大生を対象に英語のテストをして機能的磁気共鳴画像装置のfMRIで観察した結果が出ていました。実験の結果、正答率が高い学生ほど、左のこめかみの奥にあるブローカ野の文法中枢への血流集中が見られず、エネルギーを節約していることが分かりました。正答率が低い学生では、文法中枢が活発に働いていました。英語が十分に身についた学生では、こめかみの奥にある脳の文法中枢が少ないエネルギーでも働く省エネになるらしいのです。 英語に習熟すると脳の回転が速くなると思われがちですが実は脳の回転は遅くなるのです。

これは英会話学習に大事なヒントを与えてくれます。英会話では習熟することが非常に大事であるということです。残念なのはこの実験が文法であったことです。私は自分の体験から文法よりは発音の方が習熟度が省エネに貢献するのは遥かに大きいと感じているからです。英会話の秘訣はどのように習熟させるかがポイントになります。

大石晴美氏と木下徹氏の英語学習におけるメタ認知ストラテジーの脳科学的効果の研究では課題遂行時の学習者の言語野の血流増加量は、初級学習者から中級学習者になるにつれ増加し、中級学習者から上級学習者になるにつれ減少していることが観測された。上級学習者では、血流増加量については、中級学習者より有意に少なく、初級学習者とは違いがなかったのです。

これについては、大脳皮質の表面的な血流量であることも考慮して、初級学習者の選択的注意の課題の向け方と上級学習者の課題の向け方には大きな違いがあります。初級学習者については、学習の動機付けが低く注意が向けられない状態であり、上級学習者においては、課題に多くの注意を向ける必要がないと思われます。この点について総合的に考察すると、学習者が進むにつれて選択的注意は意識的、コントロール的から無意識的で自動的に活性するようになると解釈することができます。初級学習者においては、本来ならば必要のない脳内部位にまで負荷がかかってしまうことになり、不必要な労力を費やすため、学習者の疲労度は大きいことになります。


しかし大変複雑な英語を話すようにするためには省エネ効果が発揮できるところまでトレーニングをすれば良いのです。記憶には連想や同化が有効であると言いますので省エネ効果が発揮できるまで反復練習をしてある音を覚えるとそれに類似の音は容易に記憶に残ります。すると加速度的に話せる言葉が増えてくるはずです。子供は普通生まれて1才くらいから言葉を話し始めますが最初は簡単な言葉でも中々覚えられませんが3才くらいになると語彙や表現が飛躍的に増えるのはこのためと思われます。私も英語を話せるようになってから語彙や表現が急激に増えた経験がありますがほとんどの人も英語の表現はあるレベルから急速に増えます。英会話を身に付けるのは特に学習初期のトレーニングさえ正しくやれば後はそれ程大変ではないのです。

どのスポーツでも一流選手のフォームは大変美しく初心者はその真似をすることから始まります。英語でもネイティブの発音は音としてきれいでありますが、身につけてしまえば発音しやすい運動であるはずです。つまり発音を運動としてみればネイティブの発音が口、舌、腹筋、声帯、顎にとって一番楽な動きであるとも言えるのです。カタカナ英語を発音するのはネイティブにとって聞き難いだけでなく言っている本人も日本語式の発声で英語を発音するために大変無駄な運動をしているのです。無駄な動きは無駄な記憶を意味します。英会話をするためには効率よくたくさん覚えなくてはなりません。無駄な記憶は最も避けたいのです。英語が発音するのが難しいとすれば音の出し方が悪いのです。日本語訛りの影響が強いと思います。

ネイティブ並みの自然な発音をするためには英語と日本語の発音の違いを理解して自分で学習するか、教えてもらう必要があります。私の長い経験からはネイティブの発音を聞いて真似するだけではリズムがよくなるだけで本来の発音は身につきません。特に日本語の発音方法とどのように違うのか理解してトレーニングすることにより正確な英語の発音方法が身につきます。今の日本で自然な英語聞ける学校や教材はたくさんありますが英語の発音が良くなっているとはいえません。臨界期を越えた人がきれいに自然な発音するためには教材や先生の音聞いているだけでは良くなりません。

私がアメリカに滞在している間にアメリカに10年以上滞在している日本人でもカタカナ英語の人をたくさん見ています。いつもネイティブの英語聞いて、家族や周りに教わるネイティブがたくさん居るにも拘わらず発音は良くならないのです。ネイティブの教えている学校に行ってネイティブ並みの発音にはならないのです。私もアメリカ生活そしてプロの通訳でネイティブの英語にはかなりの時間接しているはずですが、実際に自分の発音が急に良くなったのはこの数年間自分なりの発音を録音して聞く練習をしてからです。

仮にネイティブに発音の方法を聞いたとしても、英語を耳で覚えた英語ネイティブはどうすれば日本人が発音を直せばよいかアドバイスができないのです。ダイレクト・メソッドの大きな欠点の一つでもあります。

このように発音を身に付ける事は注意が必要ですが英語の能力の中で訓練をすることにより飛躍的に高めることができます。悪い発音でも習熟すると省エネになることは注意しなければなりません。多くの日本人が日本語アクセントの英語を話すことにあまり苦痛を感じないのは正にその発音方法に習熟してしまったために省エネとなってしまったからです。自然な英語の発音であれば日本語訛りよりはもっと発音しやすいのですが、それを知らない状態では日本語訛りでも慣れてしまえばかなり発音し易く感じるものです。

私の体験からは発音が自然に近くなると非常に発音が楽になるのを体験しています。私は自分の脳をfMRIで見てはいませんので、どうなったかは分からないのですが脳が習熟の結果省エネ・モードになったのではないかと思っています。同じ英語を話すときにネイティブが話した場合と発音の良く無い日本人が話した場合とをfMRIで調べれば日本人の脳の方がずっと血流が多いと思われます。ネイティブが自然な発音としている時は省エネで話しているに違いありません。

脳は文法だけでなく話すときも習熟してなるべく省エネで動くようになっていると思われます。英会話学習の初期にはネイティブの通常話される会話は聞き難いものですが実は一番負担のかからない省エネ・モードで話されているのです。省エネ・モードは話すのが楽だと言うこともありますがそれだけ記憶が容易になると言うのが最大のメリットです。我々が発音練習で一番目標にすべきは自然な発音だと思います。自分の発音と悪い時と改善されてからは発音する時の負担が非常に軽くなったように思われます。

自分の経験からも発音でも習熟すると脳は省エネになることは間違いがありません。

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