学習には情感や精神面も重視すべし

脳科学者の茂木氏によると人間が判断を下すときとか記憶する時は、脳の中では感情のシステムがフル回転すると言います。その結果、記憶と感情は密接な関係にあるようです。それは脳の感情のシステムが、記憶すべきものと、それ以外のものの振り分けに関与しているらしいのです。 感情情報の処理をする扁桃体が、記憶形成に関係する海馬に影響を与えるらしいのです。

脳の中では、何らかの成功体験つまり報酬が得られると、そのような結果をもたらす原因となった行動にさかのぼり、その回路を強化するような学習が起こる。すると、どんな小さなことでもよいので「やってよかった」という達成感を得ることで脳は確実に変わっていくのです。

これを化学レベルで見るとこうなるようです。

海馬では、グルタミン酸という物質が興奮性の神経伝達に使われています。グルタミン酸の受容体にはAMPA型とNMDA型があり、軸索終末から放出されたグルタミン酸がAMPA型受容体に結合すると、Naイオンが細胞内に入り、後シナプスニューロンの電位が上昇して神経細胞を興奮させます。NMDA型受容体は通常Mgイオンによりブロックされており、グルタミン酸がきてもなんの効果も生じません。

しかし、後シナプスニューロンの発火が続くとNMDA型受容体のチャネルが開き、Caイオンが細胞内に取り込めるようになります。カルシウムが後シナプスニューロンに流入すると、細胞内情報伝達系の一連の分子作用過程が始まります。この結果、神経細胞の構造や機能に変化を生じさせるたんぱく質を作り、シナプス結合を安定化させ、シナプス反応を増強させます。

海馬の中の興奮性回路の働きを調整している系に、内側中隔核、乳頭体上核、青斑核、縫線核などから上がってくるアセチルコリン、カテコラミン、ノルアドレナリン、セロトニン等の神経投射があります。また海馬内の神経回路の働きは、血中に放出されるアドレナリンやステロイドホルモンの影響も受けます。

他方、海馬に隣接する扁桃体は好き嫌いの判断、快不快の感情、恐怖等の情動機能に深く関わっている部位ですが、この神経核と海馬領域との結合も見られます。さらに、意欲、注意などに深く関係している前頭葉、腹側線条体と海馬との結合も存在します。これらはすべて人間の感情と深く関わっていますので、記憶や学習に対する感情や情動の影響はプラスにもマイナスにも大きいといえます。感情の高揚がエピソード記憶を強化することが知られています。

感動的な場面はいつまでも記憶に残ることはよく経験することです。また、救命救助隊員や戦場の兵士達は眼のあたりにした恐ろしい光景の強烈な記憶によって後々まで心に傷を負うことがしばしばあります。これは感情の記憶とともに、エピソード自体の記憶も強化されているからといわれます。記憶を固定する過程を調べた研究によると、ラットが何かを学習した直後にアドレナリンを注射すると、学習状況の記憶が高まることが示されています。このことは、ある状況下に副腎からアドレナリンが放出されると、その経験は特別に良く記憶されることのあることを示唆しています。

感情が高揚したり恐怖にあったりすると通常はアドレナリンが放出されるので、感情を動かすような状況のエピソード記憶は強くなるだろうと考えられます。 脳の中にはいろいろな種類の記憶システムがあることを説明してきました。エピソードや事実の記憶、感情・情動に関わる記憶、運動制御の記憶、そして認識などのやり方の記憶。これらの記憶システムはそれぞれに独立して働いていますが、それと同時に密接な関わり合いも有しています。

漢字や英単語を覚えるときに手を使って書きながら覚えるほうが記憶をしっかりと固定できるということは言うまでもありません。これらのシステムを上手に使っていくのもまた脳の使い方の記憶としてどこかに保存されていることは間違いありません。「好きこそものの上手なれ」という言い伝えがあります。誰でも好きなこと、興味のあることはよく覚えます。子供はたとえばポケット・モンスターの多くの名前をいとも簡単に覚えてしまいますが、親に言われて仕方なしに勉強する漢字の書き取りはなかなか進歩しないようです。楽しいと感じながら意欲的に物事に取り組むことは、前頭葉からの指令によって海馬の記憶システムを効果的に働かせるといえましょう。

英会話を効果的に続けるためには、関心やモチベーションを維持できる方法を選ぶことにより、学習意欲を継続できるだけでなく記憶をも促進します。

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