英会話に歌で覚えるのは効果的ではない

英語の歌を使って英語の練習をする方法もありますが、同じ時間を掛けるのであれば音楽無しの場合と比べあまり効果的ではありません。歌にでてくる表現も会話などで使える文章は頻度的にはあまり多くありません。

スティーブン・ミズン氏の「歌うネアンデルタール」(音楽と言語から見るヒトの進化)には、まずピンカーの「音楽はチーズケーキのようなもので、適応の副産物であり、適応自体ではない」という説に対して音楽を理解し、楽しんでいる人間を見るとそれだけではないと言います。

ミズン氏はこの本書で言語と人間の認知について複雑な説明をしていますが、類人猿からネアンデルタールまでは現在の人類の言語のプロトタイプである全体的で感情伝達的な発話様式があったと推測しています。これが彼等が現代人類のような文化を発達させ得なかった要因のひとつであり、そしてこのプロト言語こそが音楽の祖先形態であると言っています。また彼は脳の活動からみても音楽を処理する神経ネットワークは言語処理よりはずっと脳全体に分散していると決論付けています。

ここでは自閉症児に音楽的に優れた人が多く、そして絶対音感を持つものが多い事実を提示しています。ミズン氏は人の発達過程においてはまずプロト言語的なものを指向する脳状態になりますが、この時には絶対音感があると言います。赤坊が普遍的に母親の話しかけに対して感情的に反応するのは、絶対音感のプロト言語の反応の現れでがないかと言っています。その後、他者と関わり無数の表現のできる真の言語を習得する際には、いろいろな話者の発話を同じと理解する必要から相対音感指向になるからだと説明しています。しかし、現代の音楽の役割は感情と深く結びついており、このように見ていくと音楽が適応の全くの副産物ではく、音楽は感情の表現ではないかと思われます。

カリフォルニア大学の言語学のLinne Mikkelsen氏は歌の効用に関して次のように言っています。英会話に歌を聴いてそれを覚えると言う考えはあまり有効ではありません。「子供でもラジオで聞いた歌を覚えたし、歌えた。」と考えるのは早計です。なぜなら、子供が歌う歌は、すでにその子の言語水準並か、それ以下の水準にあるからです。小さな子供は童謡が歌えても、ハレルヤは歌えないでしょう。 つまり、会話によって習得した言語水準並みの歌は、聴いているだけで覚えてしまえるのです。しかし、その水準以上の歌となるとそうはいきません。」

歌の場合には英語でも日本語でも発音方法が似ていますので、英語の歌になると英語が上手になったように聞こえます。それは英語の歌が日本語に似ているからであって、英語の発音が良くなった訳ではありません。そして英語の歌は韻を踏もうとするためどうしても言葉が発音し易いのですが、普通の会話では使わないフレーズが出る可能性が高くなります。

最悪の条件は英語の発音に十分に気が回らなくなることです。言葉を話すことも歌に非常に似ておりラップにいたっては果てしなく話し言葉に近い音楽です。英語の発音は日本語でも英語でも自分の理想音と自分の現在の音を調整することにより、正しい発音になると思っています。その結果、モデル音を真似る方法ではモデル音を聞きかつ自分の音を聞いて調整ができないため、良い発音になりません。しかし歌の場合には歌のメロディも聞き、歌手の発音も聞き、なおかつ自分の音を聞きながらその音を調整するというのはほぼ不可能な事です。

英語の言葉には音としての高低、強弱、響き、感情などいろいろ付加されますが、音楽になるとその音曲を優先するので言葉の音楽要素は変えなくてはなりません。これは英語を話す場合に大変不利なことです。単語とか文章を特定するのには会話をするための音楽的な要素を多く必要とするからです。

でも効果が少ないだけで、害がある訳ではありませんから、何もしないよりはましです。もし英語の学習に歌を歌うのがどうしても好きだと言うならその方法を選ぶのも一方かも知れません。

HOME|最適性理論とは|教材オンラインショップ|特定商取引法の記載|個人情報保護方針|お問い合わせ
Copyright(C) 2011 最適性理論で英語学習 All Rights Reserved