英語の音声学と英語の音素について

英語学習には大変重要な音声学と音素の用語が正しく理解されていない場合があります。ウィキペディアでは音声学を次のように定義しています。

「音声言語は文字言語に先行し、より基本的なものであることは、多くの民族の歴史や人間の言語習得を踏まえれば、誰でもわかることである。音声学とは、音韻論が音素的区別とその比較・音韻史を初めとして、言語音の本質的な意味や構造など様々な問題を研究するのに対し、物理的なものである言語音の音声そのものを研究する言語学のアプローチの方法である。

簡単なイメージで説明すると、

音声学:医者、生理学者、物理学者、言語聴覚士、外国語教師、プログラマー、
音韻論:言語学者、古文書学者、人類学者、哲学者、心理学者、ということになる。

音韻論で抽出した音素はスラッシュ/ / に入れて音韻表記し、有限なのに対して、物理的なものである音声はIPAを始めとした音声記号をブラケット( [ 〜 ] )で囲んで表記し、表記は無限である。しかし音声学は、音韻論の強力な武器となる。IPAは、言語音の区別の研究が進んだり、新たな言語音が発見されたり、またより精度の高い表記を目指すに伴って、たびたび更新されている。IPAによる表記は音韻表記に近い単純な簡易表記から、精度の高い精密表記まである。」

音を物理的に研究するためには音をどう作るべきかを記述する調音音声学、音がどのように伝わるか研究する音響音声学、そして聞いた音をどのように認識するかを研究する聴覚音声学があります。

音声学の上記説明で面白いのは音声学は音素のような音韻的な概念的なものでなく、音声の物理的な研究をするアプローチの方法となっていることです。現在の音声学は本当にこの目的を果たしているでしょうか。

音素とは日本語辞書では「ある言語で、語と語の意味を区別する機能をもつ音声の最小単位。」と定義しています。

しかしOXFORD英語の辞書では”any one of the set of smallest units of speech in a language that distinguish one word from another.”となっており、他の英語の辞書でも”In human language, a phoneme is a set of phones (speech sounds or sign elements) that are cognitively equivalent.”となっています。英語の辞書では「最小単位」ではなく、どちらの辞書も「最小単位音の集まり」となっております。

日本語ウィキペディアでは音素は次のように定義しています。

「音素とは、音韻論で、任意の個別言語において意味の区別(弁別)に用いられる最小の音の単位を指す。音声学の最小の音声単位である単音とは異なり、実際的な音ではなく、言語話者の心理的な印象で決められる。音素は/ /で囲んで表記する。音素に使う記号は自由であり、各言語固有の音素文字が使われることもあるし、国際音声字母が使われることがある。なるべく簡便な記号が使われるのが普通である。

音はさまざまな条件のもとで異なって発音されるが、言語話者によって同じ音だと認識される場合、それぞれの音は音素が同じということになり、それぞれの音はある音素の異音と呼ぶ。」

それでは異音は幾つあるかと言うと、言語学の中ではなく、英語の音声認識といった“音声工学”においては、音素は前後の音によってその音響的性質が全部違うという前提に立って、トライフォンというものを設定しています。つまり、1つの音素について、前にあらゆる別の音素がある場合と、あとにあらゆる音素がある場合を全部別に数えるのです。これはある意味では異音に相当します。結局のところ、隣の音が何かによって、音素は全て異なる性質を持つと考えられるからです。本来はもっと遠くの音からも影響を受けますが、それはひとまず無視しています。

音素内の異音の数を推定する場合に、仮に標準的な音素としては仮に母音音素は21個、子音音素は24個、合計45個の音素があったとします。前後の音を考慮すると、トライフォンの数は、46×45×46=95,220(46をかけているのは、語頭と語末、つまり無音が隣接する場合を含めているからです)から、不可能な音連続を除いたものになります。しかしこれは各音素には異音が一つで音素は前後の音の関係でのみ変わると言うのが前提ですが、実は各音素に幾つかの異音がありその前後の音の関係で音が変わります仮に各音素に10の異音があると460×450×460=95,220,000から不可能な音を引いた数となります。しかし実際には各音素の異音は10くらいでは済みませんので組み合わせはこんな数字では済みません。

英語の発音練習の問題点は実際には「音素は話者の心理的な印象で決められている」点にあります。人間が発音する場合には話者が心理的に覚えている音を出す事です。すると教える場合にはこの「心理的な印象」つまりどのようなものであるかを教えるべきなのですが、これは何の拠り所もないために大変教え難いものです。そこで音声学では音の詳細な記述をする事により、発音練習の拠り所としました。そして教材にモデルを音つけたり、ビデオ画像をつけたりしていますが、音をどのように作るかを主眼が置かれており、音がどのようなものであるべきかの説明は非常に少ないのです。

そしてどの音声学の本も絶対音感や相対音感の説明がほとんどありません。現代言語は相対音感をベースにしており、音の相対な関係で音を認識しています。すると人の話す音声の音は話者の印象により決めなくてはなりません、かつその音の関係は相対的なものであるとすると、仮に調点を詳細に記述できたとしても口の形を見せたとしても、そう簡単に説明可能な物理的なものではないのでしょうか。音素は話者の印象で決められており、それを聞いた人が分かれれば良いのですから、発音の方法に拘るのではなく、どのような音であるべきかを教えるべきでないでしょうか。音声とは大変複雑なものであるにも関わらず単に音を作る方法だけを覚えるだけで正しい発音ができるのでしょうか。

音声が相対音感で聴覚音声学的な考慮がなされれば、モデルをそっくり真似るというのはほぼ不可能であることが分かります。そして、モデル音のどの要素を真似て、どこが真似ができないのかを明確にすべきでないでしょうか。

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